学校長挨拶(学校だより最新号より)
昨年は大谷選手を大黒柱に、侍ジャパンがWBCにて優勝を飾り、野球人気が沸騰しました。今年はプレミア12が開催され、この大会でも日本の優勝が期待されましたが、残念ながら決勝で台湾チームに敗戦してしまい、準優勝という結果に終わりました。スポーツではどうしてもその勝敗に注目が集まりがちなのですが、決勝戦後のエピソードがちょっとしたニュースになっています。
通常、野球に限らず、スポーツの国際大会では優勝チームがシャンパンを掛け合う「シャンパンファイト」が開催され、慣例となっています。台湾の「自由時報」によると、台湾ナインはこの「勝者の権利」を辞退。曽豪駒監督は「ここは日本のプロ野球の会場だ。この喜びは台湾にもち帰ってから祝いたい」と理由を話したということです。日台双方の選手は健闘を称え合い球場を去ったと報じられています。
この台湾チームの行動は、多くの日本人の心に響いたのではないでしょうか。ラグビーでは「ノーサイド」の精神がよく言われますが、全力を出し切った後には、お互いが相手を尊重し、称え合うことによって、さらに理解を深め、次の目標に向かっていくというプロセスが生まれます。様々なスポーツが現代では行われていますが、きっとどのスポーツにおいてもこの考え方は存在するのだと思います。ただ、今回の台湾チームのように、それを国際大会という実際の場で表現することはなかなかできることではありません。思いがあっても、実践して初めて相手に伝わるのだという良い例なのでしょう。このような思いは、日本人は常にもっているものであると考えます。必要なのは、それをどのようにして表現するかにかかっているのではないでしょうか。そしてそれを素直に受け止められる自分であることも大切なことでしょう。
ドーハ日本人学校の子どもたちを見ていると、相手を思いやった行動が日々見られ、とても嬉しい気持ちになります。これからもこの姿勢を忘れないこと、そして相手の思いを素直に受け止めていくこと、ずっと続けていってほしいと願っています。さぁ、いよいよ12月です。あっという間の1年間だったように思います。2024年も良い形で終えられるよう、今月もみんなで頑張っていきましょう。
令和6年12月2日
校長 橋本 匠司